鎖国
Last-modified: 2019-05-20 (月) 12:56:04
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鎖国(さこく) †
江戸幕府の政策で,日本人の海外渡航を禁止し,外交と貿易をきびしく制限したこと。
鎖国には,次のような目的があった。
- キリスト教を禁止する(最大の目的)。
- カトリック国でキリスト教の布教に熱心なスペインとポルトガルの来航を禁止した。
- プロテスタント国でキリスト教の布教を行わないオランダの来航は認められた。
- 貿易の利益を幕府が独占する。
なお,鎖国の期間中に貿易が行われたのは,次の4か所だけであった。
- 長崎
- オランダ商館を長崎の出島に移して,貿易を許可した。
- 清(1644年から中国を支配)との国交はなかったが,中国人の商人が長崎で貿易を行うことは認められた。1688年には中国人の住居地区として唐人屋敷が建設されている(翌年完成)。
対馬 ……対馬藩の宗 氏が朝鮮との貿易を独占した。
琉球 ……薩摩藩に占領されたが,その後も中国に従う形で貿易(朝貢貿易)が行われた。
- 蝦夷地(北海道)……
渡島 半島南部を支配する松前藩が,アイヌの人たちと取り引きを行った。
【鎖国への歩み】
- 1616年……ヨーロッパ船の来航を平戸と長崎に限る。
- 1623年……オランダとの競争に敗れたイギリスが平戸から引き上げる。
- 1624年……スペインとの通交を禁止する。
- 1631年……
朱印船 の海外渡航について,老中の発行する奉書 も必要であると定める。 奉書によって海外渡航が許可された船を奉書船という。
- 1633年……幕府の許可した船(奉書船)以外の海外渡航と,海外に5年以上居留する日本人の帰国を禁じる(第一次鎖国令)。
- 1634年……第一次鎖国令を再通達する(第二次鎖国令)。 出島の建設がはじまる。
- 1635年……日本人の海外渡航と在外日本人の帰国を完全に禁止し,外国船の入港を長崎に限定する(第三次鎖国令)。
- 1636年……貿易に関係のないポルトガル人とその妻子をマカオへ追放し,残りのポルトガル人を長崎の出島に移す(第四次鎖国令)。
- 1637年……島原・天草一揆おこる。
- 1638年……幕府軍がオランダ船の協力も得て,島原・天草一揆を鎮圧する。キリスト教の禁止がさらに強まる。
- 1639年……ポルトガル人の来航と居住を禁止する(第五次鎖国令)。
- 1641年……平戸のオランダ商館を長崎の出島に移す。
鎖国の完成時期については,1639年とする説と1641年とする説がある。